
ローカル線で行く岩村城跡と城下町

地元の鉄道にゆられ、日本一の農村景観とも言われる景色を車窓から眺めながら、たどり着くのが城下町岩村である。この村を見守る山城、岩村城は16世紀頃から変わることのない石垣を今に残し、当時いかに鉄壁の守りで敵を寄せ付けなかったかを、今なお私たちに伝えている。また、岩村城へと続く古い町並みでは、古き日本の家屋や、そこでの生活を深く知ることができる。
岩村の城下町
まずは岩村城へと続く古い町並みがあなたを出迎えてくれる。散策中に少しお腹がすいたら、焼き栗、かんからもち(ごまの粉、あんこ(甘い豆のあん)、きなこ(大豆の粉)をつけた甘いもち)、五平餅(平たい棒にご飯をつけて甘いたれを塗り焼いたもの)、カステラ(400年以上前にポルトガルから伝わったケーキ)などの甘いものがお勧めである。



町中に立つ17世紀の石仏や石碑。

かんからもち
昔ながらのやさしい甘みとふわふわの食感が美味しいカステラ。城下町には、200年以上続く老舗と、100年以上続く老舗がある。

松浦軒本店のカステラ

分家の松浦軒本舗のカステラ
歴史的な建物
歴史的な建物や古民家に興味があれば、加納家(かのうけ)、勝川家(かつかわけ)、土佐屋(とさや)、木村家(きむらけ)などの見学はどうだろうか?江戸時代の古い建物や資料が残り、当時の生活を垣間見ることができる。
勝川家
勝川家は昔の商家である。建物自体もよいが、部屋からきれいな庭を眺めることができ、魅力的である。






そば処ゆい
裏手にはそば屋もあるので、そばを楽しんだ後に見学するのもおもしろいだろう。
土佐屋
土佐屋は昔の紺屋(藍染屋)である。200年以上前の建物内で当時の藍染に関して学ぶことができる。




木村家
木村家は大変大きな商家であった。たびたび藩の財政を支えていたそうで、商家ながら頻繁に藩主が出入りしていた。数百年前に殿様が談笑していた部屋でくつろいでみてはどうだろう?




加納家
加納家は今から200年近く前に、鉄砲鍛冶を行っていた家である。岩村藩主に命じられて鉄砲や槍などを製造していた。今も当時の鉄砲が展示してある。




岩村醸造
日本の酒に興味があれば、岩村醸造に寄ってみよう。岩村の水は岐阜県名水50選に選ばれている大変おいしい水である。岩村酒造では、この天然水を使用して造られた良い香りと味の日本酒が手に入る。試飲ができるので、きっと自分好みの酒が見つかるだろう。アルコールが苦手な人にはノンアルコールの日本酒“甘酒”も試飲できる。米の甘みを楽しみたい方にはうれしい。また、酒造りに使用されている水は店内に湧き出しており飲むことができる。





岩村城
岩村城の始まりは約800年前、武士が初めて日本の政権を握った時代までさかのぼる。今のように山の頂上に石垣を築き、鉄壁の守りを誇る城になったのは、450年ほど前の戦国時代のころだと言われている。峻険な地形を利用した天然の要塞に、堅固な石垣を備えた難攻不落の山城である岩村城は、日本三大山城の一つであり、日本で最も高い(標高717m)場所にある城である。
さて、城下町を抜けてすぐ、岩村城へと続く山道の入り口に着く。ここが標高717mの山頂に築かれた壮大な城“岩村城”への入り口である。ここから、頂上の本丸の石垣を目指し、約30分の登山が始まる。石畳の山道は大変趣があり、登りながら古い歴史と豊かな自然を感じることができる。途中、いくつもの門の跡や、やぐら(見張りの屋敷)の跡、橋のあとを見物しながら、数々の立派な石垣に出会う。








六段壁
頂上へ近づくと、頂上前の最後の石垣には特に目を奪われるだろう。それは“六段壁(ろくだんへき)”と呼ばれる六段の見事な石垣である。
頂上
その上に頂上があり、かつてはそこに本丸の屋敷があった。今はもう建物は残っていないが、そこから見える山々、そして眼下の町の風景はとてもすばらしい。あらためて、この山城がとてつもない防御機能を備えていたのに感じ入るだろう。



