
歴史と水の城下町 郡上八幡
7月から9月の初めにかけて30日以上も行われる「郡上おどり」で有名な郡上八幡。8月のお盆(先祖の霊が帰ってくる期間)に4日間続く「徹夜おどり」は特に有名である。この時期は郡上八幡が一番活気づくときではあるが、実は、郡上八幡の魅力はそれだけではない。昨今人気が高いのが食品サンプル作り体験。他にも郡上八幡周辺で楽しめることは数多くある。
郡上八幡は、澄んだ水の流れる水路が町中を巡り、町の中心を清流が流れる「清流の町」であり、この町の住民は水とともに生きている。



郡上八幡城
郡上の城下町を山頂から見守る郡上八幡城。天守閣は1933年に再建された木造建築である。城の歴史は約800年前までさかのぼることができるが、今のような城下町が整備されたのは約400年前である。
この城は小さな山の上にあるので、城までの山道は、楽しみながら登るのに適した距離である。頂上までたどり着くと、天守閣と周りの美しい木々が迎えてくれる。四季それぞれに美しく、春の桜、初夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色、どれも見ごたえがある。特に5月の新緑と11月の紅葉は美しい。






天守閣の最上階からは、郡上八幡の町並み、吉田川や長良川、美濃の山々のすばらしい景色を望むことができる。晴れた日はもちろん美しいが、雨でも風情がある。運がよければ、城は雲海に包まれることがあり、とても幻想的な光景に出会えるかもしれない。


古い町並みを歩く
城のふもとに広がる城下町には、昔ながらの日本の家屋が立ち並ぶ。散策しながら、いろいろな店に立ち寄るのは楽しい。




夏から秋には魚屋の店頭でアユの塩焼きを食べることができる、煎餅(米でできた伝統的スナック菓子)もおいしい。郷土料理に興味がある人は、町中のどこの料理屋に立ち寄っても、地元の料理を楽しむことができる。

郡上八幡の水を使い、昔ながらの製法で作られている味噌や日本酒もお勧め。


郡上八幡旧庁舎記念館
郡上八幡旧庁舎記念館は昭和初期の建築で重要文化財であり、観光案内所にもなっている。中で食事もできる。



鶏ちゃん定食

地鶏卵かけごはん定食アマゴ煮つけ付
郡上八幡博覧館
古い町並みにある「郡上八幡博覧館」では、年中郡上おどりの実演が行われている。ここでは、郡上の伝統的工芸品である「郡上染(藍染)」や「郡上紬(郡上の絹織物)」も見ることができる。



町中をめぐる水路
郡上八幡は「水の町」である。日本にはいくつか水の町があるが、他の水の町との大きな違いは水質である。水質は極めて良く、流れてくる水はそのまま飲料水になるおいしい水である。町中には、水飲み場が点在しており、その水を味わうことができる。
宗祇水(そうぎすい)
特に有名な泉が「宗祇水(そうぎすい)」であり、1985年、日本の名水百選の一番手として選ばれた。この泉の名はある話に由来する。今から千年以上前に和歌の歌集である「新古今和歌集」成立した。その中には、解釈が大変難しいものもあったので、その正しい解釈についての秘伝が師から弟子へと受け継がれていた。1471年に師の東常縁(とうつねより)から弟子の宗祇(そうぎ)へと奥義が伝授されたその場所こそ、名水の湧き出るこの泉だったのである。


いがわこみち
いがわこみちにはコイや渓流の魚が泳ぐ美しい水路がある。


やなか水のこみち
やなか水のこみちは地元の川石が敷き詰められた美しい小路である。


乙姫滝
町の中心から1kmほど歩けば、水源の滝「乙姫滝」を見ることもできる。水は驚くほど澄んでおり、茶の湯に使うと最高とのこと。



町中に点在する寺院
郡上八幡は「小京都」と呼ばれるほど寺院が多い。すべて徒歩圏内にあるので、寺院巡りもおすすめである。
慈恩禅寺(じおんぜんじ)
もし1つだけ選ぶとするなら、慈恩禅寺である。この寺のてっ草園(てっそうえん)は大変美しく、特に11月の紅葉の時期は、しばらく時が経つのを忘れてしまうほど見入ってしまう。







大乗寺


長敬寺


悟竹院


郡上踊り
郡上踊りは、400年以上の歴史をもち、7月中旬から9月上旬にかけて30夜以上開催される日本一長い盆踊り(祖先の霊を迎え慰めるための踊り)である。クライマックスは8月13日から16日の四日間に夜通しおどる「徹夜おどり」であり、何千もの人が夜が明けるまで踊り続ける姿は圧巻である。また、郡上踊りの大きな特色は、だれでも参加できることである。地元の人も観光客も、参加したい人は全員参加できるのが魅力である。

